斜頚(首の歪み)

斜頸についてはすでにご存じだと思いますが、念のためご説明いたします。

斜頸とは、首が左右どちらかに傾いたり曲がったりし、反対側への可動性が制限される症状のことです。

斜頸の中でも最も多いとされているのが先天性筋性斜頸で、生まれつき首の筋肉（胸鎖乳突筋）が硬く縮まることで起こるものです。先天性筋性斜頸のほとんどは生後1歳半ごろまでには自然と治ると言われています。

また、頸椎や胸椎の奇形による骨性斜頸や視力低下や斜視によって物を見るときに首を傾ける習慣がくせになってしまった眼性斜頸、炎症や外傷による炎症性斜頸がありますが、これらは頸椎の中の環椎、軸椎の可動性が制限されるというもので幅広い年齢層に見られます。

斜頸は原因によって治療法が異なり、先天性筋性斜頸の様に経過を見るものと、適切な治療を行わなければ改善しないものがあります。

①先天性筋性斜頸

先天性筋性斜頚とは、出生時におこる首の筋肉の外傷です。頭部が出てくる時に筋肉が過度に引っ張られることで起こります。
最も頻度が高いものは、耳の下の乳様突起と鎖骨・胸骨を繋ぐ胸鎖乳突筋という筋肉の拘縮で生じる斜頸です。
典型的な形は、患側と反対側に顔を向け、同側に頚が傾く形です。

筋肉が過度に引っ張られると、筋肉組織が裂けたり出血したりします。出血やむくみが生じると、筋肉中の圧が高まり障害をきたします。その後、傷が治って瘢痕組織（しこり）に変わり、筋肉が硬くなり、赤ちゃんは、首を一方向のみに向けるようになります。

これは生後2～3週でもっとも大きくなりますが、その後は徐々に自然と小さくなっていき１才半までに8～9割は自然治癒していきます。

②骨性斜頸

生まれつき頚椎や胸椎に奇形があり、そのために首が傾きます。

③炎症性斜頸

風邪をひいてしまった後や中耳炎・扁桃炎などで首に炎症が起こってしまったため生じる斜頸です。
環椎（第一頚椎）と軸椎（第二頚椎）の並び方に異常を生じ、首が傾きます。
ほとんどは1週間程度で自然に改善することが多いですが、
2週間以上斜頸が持続する場合は、環軸椎回旋位固定という首の骨が曲がったまま骨が固まってしまう状態になる可能性があります。

④眼性斜頸

眼の運動をする筋肉の異常が原因で首が傾きます。 テレビなどに興味を示す6か月以後に気づかれることが多く、何かを注視すると首の傾きが大きくなり、目をつぶっている時は斜頸ではなくなっている事がります。
この時は眼性斜頸が疑われ、眼科を受診する必要があります。

先にも述べましたように、斜頚は首や目の筋肉、首の骨や関節の問題で、筋肉の過緊張が続き、痛みや疲労、頭痛やその他の自律神経症状が起こります。

痛みや緊張を取り、骨格や筋肉を整えるのは整体・鍼灸治療が得意とする分野です。首、目、肩など、上半身のねじれやゆがみを矯正し、全身の筋肉のバランスを適度にし、神経伝達を正常にし、安定した姿勢へと導きます。

病院では、多くの斜頚が経過観察、ひどくなったら手術というケースになってしまうため、根本的な改善は見込めず諦めて放ったらかしになってしまうことが多いのですが、軽度であれば根本改善は十分可能ですし、重度の場合でも痛みの改善・軽減は可能性があるので、諦めないで鍼灸・整体の治療も選択の一つに入れていただければと思います。

さらに、当院の行う斜頚の治療は、多くの整体院や整骨院、病院で行われているけん引療法や電気療法は行わず、そもそもの原因である首や目の筋肉のバランスを矯正し、神経を整えます。

そして再発しないための姿勢・運動指導から、首や上半身の柔軟性を高めるためのセルフケア指導など、多角的・総合的に行っていくので、整体との相乗効果も高く、斜頚の方にとって理想的なアプローチが可能です。

そしてこれまで多くの斜頚の患者さんと向き合ってきた当院にご相談いただければ幸いです。