拇指（母指）CM関節症/親指の痛み

拇指CM関節とは、親指の付け根のさらに奥、手のひらの中にある「手根中手関節（しゅこんちゅうしゅかんせつ）＝Carpometacarpal　joint」のことを言います。
拇指（親指）を動かす支点となる関節で、物をつまんだり、握ったりする動作でとても負担の大きい重要な関節です。

よく動く関節で、拇指を動かすために負担の大きい重要な関節のため、手の使いすぎや加齢によって拇指CM関節の軟骨がすり減り、骨と骨が擦れることで痛みを覚える病気が「拇指CM関節症」です。

物をつまむときや瓶のフタを空けるとき、ドアノブを回す、ホチキスを使うといった動作などで手首に近い親指の付け根に痛みが出るのが特徴で、手を使う仕事や趣味を持つ人だけでなく、特に何もしていないという人でも発症する場合もあります。

主に中年以降の女性に多く発症し、初めのうちはある一定の動作で痛みが生じる程度ですが、徐々に痛みが強くなり、進行してしまうと関節の亜脱臼が進んだり、親指が外へ開きにくくなってしまうこともあるため、早めの治療が大切です。

主な原因は、手の使い過ぎや加齢による関節軟骨の摩耗とされていますが、女性の場合、ホルモンバランスの変化も関係すると考えられています。

関節の軟骨がすり減ると、関節を包む袋（関節包）の内側にある滑膜（かつまく）にはがれた軟骨のかけらが散り、滑膜の炎症や腫れを起こし、痛みの原因となります。

女性ホルモンのエストロゲンは滑膜の炎症や腫れを抑えるとされ、更年期にエストロゲンが急激に減少することで手指のさまざまな痛みを発症すると言われています。このため更年期が過ぎると症状が落ち着く人もいます。
男性では力仕事やケガが原因になることが多いと考えられています。

似た症状を起こす腱鞘炎やリウマチによる関節炎と区別するためにX線検査を行い、CM関節の隙間や骨棘の有無、亜脱臼などを確認します。

拇指CM関節症の場合、患部のレントゲン検査を行うと拇指ＣＭ関節の軟骨がすり減って関節が狭くなっていることが分かります。

つまり骨と骨の隙間が狭くなり、直接骨と骨が当たっているのです。
すり減った軟骨を補うように周囲の骨が膨らみ、骨のとげが生じている場合もあります。最終的には骨と骨の適合が悪くなり、亜脱臼（あだっきゅう）を生じることもあります。

しかしながら、拇指CM関節症のように、親指を酷使していても何も症状が起きない人もいます。
一方で、それほど酷使もしていないのに、局所に痛みや変形が起きる人もいます。

その違いは何か？なぜ沿うようなことが起こるのか？疑問に思いませんか？

ホルモンバランスの影響や個々の体の頑丈さなどを除外した場合、その大きな理由はひとつに絞られます。

それは【身体の使い方】です。

拇指CM関節症に関しては、親指ばかりに負担のかかる使い方をしているのです。
もちろん、親指だけでなく、他の指や手、腕、肩も使っているのですが、特に親指に負担がかかってしまう使い方になってるのです。
その使い方を変えない限り、鎮痛剤を服用しても、マッサージしても、一時的にしか回復せず、また痛みが再発してしまいます。

上手に体を使えている人は、親指だけでなく、体の他の部分もしっかり使っているのです。

一般的には、ますは安静にすることです。
母指CM関節は普段の生活でよく使うためテーピングや固定装具（サポーター）などを使い、なるべく負担をかけないようにします。休ませることで炎症が治まり、痛みが落ち着きます。

病院では、痛みが強い場合は消炎鎮痛剤の湿布、塗り薬、内服薬を処方します。こうした処置を続けても痛みは治まらない場合は関節内のステロイド注射を行います。数回を目処に3か月から半年程度の間隔をあけて行います。

これらの方法でも良くならない場合は手術が検討されます。手術は「関節固定術」と「関節形成術」があり生活スタイルに合わせ選択します。
関節形成術は大菱形骨という親指の付け根にある骨を切除して、腱を使って関節を作り直します。力は入りにくくなりますが関節の動きは維持されます。
関節固定術は傷んだ軟骨を削った後、関節自体をワイヤーやネジで固定します。手の力は入り易くなりますが手の動きは悪くなります。

ですが、手術はイヤ、本当の最終手段。その前に何かできないか？
また痛み止めを飲み続けるのもなんとかしたいという方が、当院には多数お越しになられます。

そのような方には、鍼灸や整体治療をしながら、それらと並行して、様々なセルフケアもお伝えしています。

先にも述べましたが、拇指CM関節症は肩甲骨、肩、肘、手首などの使い方に悪いクセがつくことによってそれらの関節が硬くなり、手首から親指かけて大きな負担がかかり血流や神経伝達が悪くなったり、老廃物が増えることによって指の関節に滞りが起こります。

骨格や筋肉など体のゆがみを整え、神経伝達や血流を改善するのは鍼灸や整体治療が得意とするところです。
肩甲骨、肩、肘、手首、指のねじれやゆがみを矯正し、全身の筋肉のバランスや連動を最適にし、安定したしなやかな姿勢へと導きます。

さらに、当院の行う拇指CM関節症の治療は、多くの整体院や接骨院で行われているテーピング療法や電気療法は行わず、そもそもの原因である腕や指のねじれを矯正し、再発しないための姿勢指導から、手指を機能的に動かせるようになるためのセルフケア指導など、多角的・総合的に行っていくので、相乗効果も高く、拇指CM関節症でお悩みの方にとって理想的なアプローチが可能な治療法なのです。

病院では、多くの拇指CM関節症が経過観察になってしまうため、根本的な改善は見込めず諦めて放ったらかしになってしまうケースが多いのですが、軽度であれば根本改善は十分可能ですし、重度の場合でも痛みの改善・軽減は可能性があるので、諦めないで整体の治療も選択の一つに入れていただければと思います。

そしてこれまで数多くの拇指CM関節症の患者さんと向き合ってきた当院にご相談いただければ幸いです。